江戸妖怪界隈

江戸時代の妖怪たちを崩し字と共に分かりやすく紹介します♪

[39]「猫又」~パクり本(『怪物画本』)と本家(鳥山石燕の妖怪画)を比べてみたよヾ(๑╹◡╹)ノ"~

haname 今回の「パクり本(『怪物画本』)と本家(鳥山石燕の妖怪画)を比べてみたよ」は、「猫又《ねこまた》」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"

 鳥山石燕の妖怪画をまんまパクって作られた『怪物画本』を、元になった鳥山石燕の妖怪画と比較するという、意味があるのか無いのかよく分からない企画でございますヾ(๑╹◡╹)ノ"

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『怪物画本《かいぶつえほん》』「猫又《ねこまた》」[明治十四(一八八一)年刊、李冠光賢《りかんみつかた》画、鍋田玉英《なべたぎょくえい》模写]




『画図百鬼夜行』巻2「猫又《ねこまた》」[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]
[江戸東京博物館所蔵 CC BY-SA 4.0]


※画像の調整、赤字の書入れは筆者。



haname【解説】

 猫は年を取ると、シッポが二つに分かれて、頭に手拭いを乗せて夜な夜な踊ると言います。

 真ん中の猫はシッポが二つに分かれ、手拭いを頭に乗せて踊っている猫又の完全体です。
 右の猫は、手拭いを頭に乗せてはいるものの、まだシッポは分かれておらず、踊りも中途半端です。
 左の猫は、まだ普通の猫です。

『怪物画本《かいぶつえほん》』の方、なぜか猫の柄が変えられていて、顔もなんだかマヌケです。


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三つ目アイコン 僕も猫又になれるかな三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"

haname 確かに君はいつも「ねえ、困った」て言ってるけどな北見ヾ(๑╹◡╹)ノ" 



画図百鬼夜行
鳥山 石燕
国書刊行会
1992-12-01



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猫又

[37]「火車」~パクり本(『怪物画本』)と本家(鳥山石燕の妖怪画)を比べてみたよヾ(๑╹◡╹)ノ"~

haname 今回の「パクり本(『怪物画本』)と本家(鳥山石燕の妖怪画)を比べてみたよ」は、「火車《かしゃ》」ですヾ(๑╹◡╹)ノ"

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『怪物画本《かいぶつえほん》』「火車《くわしや》」[明治十四(一八八一)年刊、李冠光賢《りかんみつかた》画、鍋田玉英《なべたぎょくえい》模写]




『画図百鬼夜行』巻2「火車《くハしや》」[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]
[江戸東京博物館所蔵 CC BY-SA 4.0]


※画像の調整、赤字の書入れは筆者。



haname【解説】

 石燕の絵では毛むくじゃらの獣なのに、なぜか『怪物画本』ではブチ柄になっていて弱そうです(笑)

「火車」は葬礼などで人の死体を奪う妖怪です。

「火車」といえばこの石燕の絵がよく紹介されるのですが、みなさんも疑問に感じられていると思われますが、「火車」って名前のなのに、車が描かれてないんですよね。

 で、室町時代の絵巻が元になっていると思われる『百怪図巻』を見てみましたら、獄卒(地獄の鬼)らしき獣が火の車を引いています。
おそらくこれが元の火車の姿でしょう。

Suushi Kasha.jpg
Sawaki Sūshi (佐脇嵩之, Japanase, *1707, †1772) - scanned from ISBN 978-4-336-04187-6., パブリック・ドメイン, リンクによる

『百怪図巻《ひゃっかいずかん》』「火車《くハしや》」[元文二(1737)年成立、佐脇嵩之《さわきすうし》作]※オリジナルは室町時代か

 ほかにも、『新御伽婢子』と『近代百物語』でも、獄卒(牛頭馬頭《ごずめず》)が火の車を引いている絵が描かれています。
新御伽婢子
『新御伽婢子《しんおとぎぼうこ》』巻一の六「火車櫻《くわしやのさくら》」[天和三(一六八三)年刊、西村市郎右衛門作]


近代百物語
『近代百物語《きんだいひゃくものがたり》』巻五の一「巡《めぐ》る報《むく》ひは車《くるま》の轍《わだち》」[明和七(一七七〇)年刊。鳥飼酔雅作]
[富山大学附属図書館所蔵 CC BY]


 でも、石燕の絵は、獄卒っぽくないんですよね。
 ほかでは見られない石燕オリジナルの火車のビジュアルです。
 何だか猫のような獣っぽいんですよね。

 そうです、火車の正体が猫とされている場合もあるんです。
 おそらく、石燕は火車猫説をふまえて描いたのではないかと。

 たとえば『多満寸太礼』と『御伽人形』では、火車は猫又及び仲間の猫とされています。※『御伽人形』では火車という名称は出てこない。

玉すだれ+
『多満寸太礼《たますだれ》』巻四の三「火車之説《くわしやのせつ》并びに猫《ねこ》死骸《しがい》を取る事」[宝永元(一七〇四)年刊。辻堂兆風子作]


御伽人形
『御伽人形《おとぎにんぎょう》』巻一の三「幻《まぼろし》に見る人知らぬ貍《ねこまた》」[宝永二(一七〇五)年刊、苗村松軒作]


 獣系で言うと、『茅窗漫録』では、火車の正体は魍魎《もうりょう》とされ、耳毛の長いキツネのような姿で描かれています。
茅窗漫録
『茅窗漫録《ぼうそうまんろく》』巻三「火車」[天保四(1833)年刊、茅原定作]


 元々は奪った死体を乗せるための火の車を引いていた火車という妖怪ですが、そのうち火車という名前だけが残って、火の車を引いてなくても、死体を奪う妖怪全般が火車と呼ばれるようになったと思われます。

 なので、獄卒や猫以外が火車の正体である場合も少なからずあります。

 例えば、『因果物語』では松明《たいまつ》を持った二人の男、
※本文中では松明ではなく大きな光。本文中では二人の大男だが、挿絵ではそれほど大きくない。
因果物語
『因果物語《いんがものがたり》(平仮名本)』巻四の五「生きながら火車《くわしや》に取られし女の事」[寛文年間(一六六一~一六七二)刊か、鈴木正三原作]


『奇異雑談集』では雷のような姿、

Kii-zotan-shu Kasha.jpg
Unknown (Japanese) - scanned from ISBN 978-4-00-302571-0., パブリック・ドメイン, リンクによる


『狗張子』では天狗、
※火車の正体は明記されていないが、和尚のセリフ「往古《そのかミ》ハ関東方《くわんとうがた》、人 死《し》すれバ火車《くハしや》の来りて尸《かバね》を奪ひ取り、引き裂きて大木の枝に掛け置《お》きたる事も多かりしを」で、火車の正体が天狗であることを示唆している[天狗は人を引き裂いて枝に掛けると言われている。『狂歌百鬼夜興』などに記載]。
狗張子
『狗張子《いぬはりこ》』巻六の五「杉田彦左衛門《すぎたひこざゑもん》天狗《てんぐ》に殺《ころ》さるゝ㕝《こと》」[元禄五(一六九二)年刊、浅井了意作]
[祐徳稲荷神社所蔵 CC BY]


と言った具合です。

みなさんはどの火車がお気に入りですか?

やっぱり石燕の火車が一番カッコイイかなヾ(๑╹◡╹)ノ"


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三つ目アイコン 実は僕は火車なんだ三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"

haname 確かに君の家計は火の車だ北見ヾ(๑╹◡╹)ノ" 



画図百鬼夜行
鳥山 石燕
国書刊行会
1992-12-01



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火車サムネ+

[20]猫又 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、お馴染み妖怪猫又[猫股]です、にゃお~んヾ(๑╹◡╹)ノ"

 年を取った猫は、しっぽ二つに分かれて、猫又と言う妖怪になって、人を化かすと考えられていました。。


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狂歌百鬼夜興
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猫又01猫又02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

猫又《ねこまた》  士業《しごふ》

 形さへ 所によりて 変はり物 今日は又猫 明日は又婆〻


【現代語訳】

猫又  by 士業《しごう》

 今日又《また》、明日は又《また》、というように、妖怪猫又は、場所によって姿変えるのです。



haname【解説】

 狂歌は、副詞《また》」[「再び」の意]「猫かけています。

 挿絵は、ではなく牡丹灯籠の美女に化けた猫又が、金の精に驚いて逃げている様子が描かれています。


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   猫又《ねこまた》 酒舩《さかふね》

 猫又の 姿と見しハ 迷ひから 此方《こちら》の胸の 踊るなりけり


【現代語訳】

   猫又《ねこまた》 by 問屋酒船《とんやのさかふね》

 猫又姿見えたので、心が乱れ胸が踊りました[胸がドキドキしました]


haname【解説】

 猫又「手拭いを頭に乗せて踊る言われていたので、それを踏まえて、「胸が踊る掛けて詠まれています。


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画図百鬼夜行
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画図百鬼夜行
『画図百鬼夜行』[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]



haname【解説】

 はい、こちらがまさしく猫又手拭いを乗せて踊っている姿です。

 見にくいですが、障子を破ってを出すと、縁側の下にも描かれています。


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狂歌百物語
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狂歌百物語
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』一編「貍《ねこまた》」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname【解説】

狂歌百物語+

 ここでは、猫又「貍」という漢字で書かれています。

「貍」通常タヌキ意味する漢字ですが、「猫貍橋《ねこまたばし》」「猫貍坂《ねこまたはし》」という地名にも使われており、また、中国では「貍奴《りど》」猫の別名であり、「仙貍《せんり》」という猫の妖怪もいることから、猫又のことを意味する場合もあるようです。

 挿絵は、女性障子越し見ると、正体猫又だったということでしょうか。



◆猫又関連記事(本館)







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haname それは妖怪じゃなくて、履いて下着名称北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"



妖怪画本・狂歌百物語
京極 夏彦
国書刊行会
2008-08-01









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北見花芽

文学やったり音楽やったり美学を貫いたりしてる自由人です♪
一応、それなりに江戸文学の専門的な研究をして、それなりの学位を取得していますヾ(๑╹◡╹)ノ"

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