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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。
【原文】
▢髙入道《たかにふだう》 梅止《ばいし》
衿巻《えりまき》を 外れて高き 入道に 我が首筋も 寒く為《な》りけり
【現代語訳】
▢高入道《たかにゅうどう》 by 梅止《ばいし》
マフラーが外れるほど高く首を伸ばす入道を見て、私の首筋もゾッとして寒くなりました。

狂歌は、外れたのは首を高く伸ばした高入道のマフラーですが、それを見た人がゾッとして、マフラーが外れてもいないのに、首筋が寒くなったという内容です。
挿絵は、船幽霊が出てくる器を持った、首を長く伸ばした高入道の姿が描かれています。

これでは、尺が足りなすぎるので、『絵本小夜時雨』に収録されている、「高入道」が登場するお話を紹介します。
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絵本小夜時雨
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※Wikipediaより
『絵本小夜時雨』[享和元(1801)年刊、速水春暁斎作]
【原文】
【解説】
『絵本小夜時雨』[享和元(1801)年刊、速水春暁斎作]
【原文】
天明《てんめい》の末《すへ》、都《ミヤこ》御幸町《ごかうまち》五条《ごじやう》の北《きた》に、怪物《ばけもの》出《いづ》る由《よし》、沙汰《さた》せり。
其《そ》の町《まち》に銭屋九兵衛《ぜにやきうべゑ》と云へる者《もの》、深夜《しんや》に及《およ》んで、外面《そとづら》へ出るに、月《つき》いと明《あき》らかなるに、垣《かき》を隔《へだ》てる千栽《せんざい》[前栽]の木《き》も、玉《たま》を欺《あざむ》く光《ひか》り隈《くま》無く見《ミ》へ渡《わた》りしが、俄《にわ》かに空《そら》掻《か》き曇《くも》り、今迄《いままで》見へし月影《つきかげ》も冴《さ》へず、真《しん》の闇《やミ》と變《へん》じ、其の高《たか》さ丈餘《じやうよ》の高入道《たかにうどう》、彼《か》の九兵衛を睨《にら》ミ、立《た》ち居《ゐ》たり。
元来《ぐわんらい》不歒《ふてき》の者なれバ、有《あ》り合《あ》ふ割木《わりき》、追《お》つ取つて、投げ付けくると等《ひと》しく、彼の高入道《たかにうどう》、其の儘《まゝ》消《き》へ失《う》せ、元の月夜《つきよ》と成《な》りきと。
其の後《のち》ハ、彼の怪物《ばけもの》も出《い》でざりしとなん。
※粗い画像の資料しか見られなかったので、間違ってたらスイマセン。
【現代語訳】
天明[一七八一~一七八九年]の末頃、都の御幸町《ごこうまち》の五条通の北にあたる場所に、化け物が出ると噂になりました。
その町に銭屋九兵衛《ぜにやきゅうべえ》という者がいましたが、ある時、深夜に外に出ると、月がとても明るく、垣根の向こうの庭の植込みの木の、葉の上の玉のような露の光まで、はっきり見えていました。
しかし、急に空が暗くなり、今まで見えた月の光も見えなくなりました。
そして、真っ暗闇となると、その高さ一丈[約3メートル]ちょっとの高入道が現れ、この九兵衛を睨《にら》んで立っていました。
九兵衛は、元々、大胆で恐れを知らない者だったので、ちょうどそこにあった木片を急いで手に取って、高入道に投げつけました。
投げつけると同時に、この高入道は、そのまま消え失せて、元の月夜に戻りました。
その後は、この化け物は出てこなくなったそうです。

京都の御幸町《ごこうまち》に現れた高入道のお話ですが、木を投げつけただけで消えたという、なんとも、面白みもないお話です。
挿絵は、木を高入道に投げつけようとしている九兵衛が描かれています。
挿絵は、木を高入道に投げつけようとしている九兵衛が描かれています。
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