江戸妖怪界隈

江戸時代の妖怪たちを崩し字と共に分かりやすく紹介します♪

狂歌

[25]高入道 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、見越入道大入道同系列の、大きな入道の妖怪高入道ですヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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高入道01高入道02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

髙入道《たかにふだう》  梅止《ばいし》

 衿巻《えりまき》を 外れて高き 入道に 我が首筋も 寒く為《な》りけり


【現代語訳】

高入道《たかにゅうどう》  by 梅止《ばいし》

 マフラーが外れるほど高く首を伸ばす入道を見て、首筋ゾッとして寒くなりました。


haname【解説】

 狂歌は、外れたのは首を高く伸ばした高入道のマフラーですが、それを見たゾッとして、マフラー外れてもいないのに、首筋寒くなったという内容です。

 挿絵は、船幽霊が出てくるを持った、首を長く伸ばした高入道の姿が描かれています。



haname 高入道名前違うだけで、実際のところは、見越入道大入道ほぼ同じ妖怪だと思われるのですが、「高入道」という名前では、『狂歌百鬼夜狂』にも、『狂歌百物語』にも、鳥山石燕の妖怪画集にも登場しません。

 これでは、尺が足りなすぎるので、『絵本小夜時雨』収録されている、「高入道」が登場するお話紹介します。



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絵本小夜時雨
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Shungyosai Takanyudo.jpg

※Wikipediaより
『絵本小夜時雨』[享和元(1801)年刊、速水春暁斎作]




【原文】

 天明《てんめい》の末《すへ》、都《ミヤこ》御幸町《ごかうまち》五条《ごじやう》の北《きた》に、怪物《ばけもの》出《いづ》る由《よし》、沙汰《さた》せり。
 其《そ》の町《まち》に銭屋九兵衛《ぜにやきうべゑ》と云へる者《もの》、深夜《しんや》に及《およ》んで、外面《そとづら》へ出るに、月《つき》いと明《あき》らかなるに、垣《かき》を隔《へだ》てる千栽《せんざい》[前栽]の木《き》も、玉《たま》を欺《あざむ》く光《ひか》り隈《くま》無く見《ミ》へ渡《わた》りしが、俄《にわ》かに空《そら》掻《か》き曇《くも》り、今迄《いままで》見へし月影《つきかげ》も冴《さ》へず、真《しん》の闇《やミ》と變《へん》じ、其の高《たか》さ丈餘《じやうよ》の高入道《たかにうどう》、彼《か》の九兵衛を睨《にら》ミ、立《た》ち居《ゐ》たり。
 元来《ぐわんらい》不歒《ふてき》の者なれバ、有《あ》り合《あ》ふ割木《わりき》、追《お》つ取つて、投げ付けくると等《ひと》しく、彼の高入道《たかにうどう》、其の儘《まゝ》消《き》へ失《う》せ、元の月夜《つきよ》と成《な》りきと。
 其の後《のち》ハ、彼の怪物《ばけもの》も出《い》でざりしとなん。
※粗い画像の資料しか見られなかったので、間違ってたらスイマセン。


【現代語訳】

 天明[一七八一~一七八九年]末頃都の御幸町《ごこうまち》五条通の北にあたる場所に、化け物が出るとになりました。

 その町銭屋九兵衛《ぜにやきゅうべえ》というがいましたが、ある時深夜に出ると、がとても明るく垣根の向こうの庭の植込みの木の、葉の上の玉のような露の光まで、はっきり見えていました。

 しかし、急に暗くなり、今まで見えた月の光見えなくなりました。

 そして、真っ暗闇となると、その高さ一丈[約3メートル]ちょっと高入道が現れ、この九兵衛睨《にら》んで立っていました。

 九兵衛は、元々、大胆で恐れを知らない者だったので、ちょうどそこにあった木片を急いで手に取って、高入道投げつけました。

 投げつける同時に、この高入道は、そのまま消え失せて、元の月夜戻りました。

 その後は、この化け物出てこなくなったそうです。


haname【解説】

 京都の御幸町《ごこうまち》に現れた高入道お話ですが、木を投げつけただけで消えたという、なんとも、面白みもないお話です。

 挿絵は、高入道投げつけようとしている九兵衛描かれています。


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三つ目アイコン 今回「『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち」完結だね!三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname この三つ目のコーナーも、今回完結にしたいね!北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"



妖怪画本・狂歌百物語
京極 夏彦
国書刊行会
2008-08-01










haname この記事妖怪の名前に、各記事のリンク貼ってありますので




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[24]舟幽霊 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、に現れて沈めようとする舟幽霊ですヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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舟幽霊01舟幽霊02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

舟幽灵《ふないうれい》  梅季《ばいき》

 西海《さいかい》へ 沈ミし霊の 燃ゆる火に 陰弁慶《かげべんけい》も 出て祈れかし


【現代語訳】

舟幽霊  by 梅季《ばいき》

 西海に沈んだ霊[九州の壇ノ浦に沈んだ平家の霊]燃えている火を見て、家の中でしか威張れない陰弁慶[「内弁慶」と同じ意味]憐《あわ》れんで、外に出てきて祈っています。


haname【解説】

 この狂歌での舟幽霊は、平家の霊による怪火のようです。
 源氏の弁慶から生まれた、陰弁慶という言葉を用いてシャレています。

 挿絵は、高入道が持つから出てきた、に乗って柄杓《ひしゃく》を持つ舟幽霊描かれています。


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   舩幽灵《ふないうれい》  有正《ありまさ》

 面色《めんしよく》も 青海原《あをうなばら》に 浮かみしハ 舩幽灵を 言ひに出《いだ》しか


【現代語訳】

   船幽霊《ふなゆうれい》  by 算木有正《さんぎのありまさ》

 青海原[青く広い海]に映った自分の青白い顔色を見て、「船幽霊だ!」言い出したのでしょうか。


haname【解説】

 船幽霊の正体は、海面に映った自分の顔だったということでしょうか。


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今昔画図続百鬼
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Konjakuzokuhyak2Tori_0016Konjakuzokuhyak2Tori_0016+
『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]



【原文】

   舟幽霊《ふなゆうれい》

 西國《さいごく》、又は北國《ほくこく》にても、海上《かいじやう》の風激しく、浪《なミ》高き時ハ、波の上に人の形の物、多く現れ、底《そこ》無き柄杓《ひしやく》にて、水を汲《く》む事有り。
 是を舟幽灵《ふなゆうれい》と言ふ。
 是は門渡《とわた》る舟の楫《かぢ》を絶えて、行方《ゆくえ》も知らぬ魂魄《こんぱく》の残りなるべし。


【現代語訳】

   舟幽霊《ふなゆうれい》

 西国、または北国でも、海上の風激しく波が高い時は、波の上人の形をした物が多く現れ底が無い柄杓《ひしゃく》で、水を汲む事があって、これを舟幽霊と言います。
 これは海を渡る舟遭難して、行方不明になった霊魂が、この世残ったものでしょう。


haname【解説】

 舟幽霊「柄杓をよこせ」言うので、そのままの柄杓渡すと、船の中汲まれ船が沈むが、底を抜いた柄杓渡すと、水が汲めないので助かる、というのがよく聞く話です。
 しかし、ここでの舟幽霊最初から底の無い柄杓を持っているようで、船の中汲みようがないので、人畜無害ですねヾ(๑╹◡╹)ノ"
 どちらにしても、舟幽霊は、海が荒れている時は、船を出さないようにする戒めとして、生まれたのかもしれませんね。

 挿絵は、薄くて見にくいかもしれませんが、船に乗って柄杓を持つ舟幽霊描かれています。


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狂歌百物語
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狂歌百物語
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』三編「牡丹燈籠」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname【解説】

  挿絵は、霊の形になって、船を襲っています。


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船幽霊関連記事(本館)
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三つ目アイコン 柄杓よこせ三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname ん? この柄杓で、お前から水を掛ければいいのか? それともそのままパコンと叩けばいいのか?北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"



妖怪画本・狂歌百物語
京極 夏彦
国書刊行会
2008-08-01









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[23]火柱 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、火の気のない所に立ち上る怪火一種火柱ですヾ(๑╹◡╹)ノ"ヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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火柱01火柱02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

火柱  加賀丸
 太かりし 肝を消しても 見る物は 風に燃え立つ 夜半《よは》の火柱


【現代語訳】

▢火柱  by 加賀丸

 太かった肝消してしまったのは、風の中でも消えず燃え立つ火柱見てしまったからでした。
[「肝が太い」は「物事に動じない」、「肝を消す」は「非常に驚く」を意味する慣用表現]


haname【解説】

 狂歌は、消したけど、火柱消えなかったというシャレですね。

 挿絵は、火消婆消されそうになっている火柱です。
 どうか、妖怪仲間でしょうから、消さないであげてください(笑)


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妖怪百談
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haname 火柱妖怪と言うより怪奇現象なので、火柱出たという記録的なものはあるのですが、『狂歌百鬼夜狂』にも、『狂歌百物語』にも、鳥山石燕の妖怪画集にも登場しません。。。

 そこで、あまりにも尺が足りないので、明治の妖怪博士井上円了火柱についての記述興味深かったので、紹介することにします。

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『妖怪百談』[明治三十一(一八九八)年刊、井上円了作]



【現代語訳】

   第七十六段 火柱《ひばしら》の話

 世間では、火柱の立つ時は、火柱の倒れた方角で、必ず火災が起こると言われています。

 この事が、ホントウソか確かめるのが難しいですが、立ち上がって消える事は、事実としてあるようです。

 思うに、燐火《りんか》[火の玉、人魂]一種でしょう。

 ところで、はかつて、このような事聞きました。

 ある町で、「火柱が立った」というがあって、すぐに火災起こりました。

 そのことについて、噂の発生源追及すると、その辺りに放火をして悪事を働く盗賊がいて、放火をしようとしたに、火災放火によるものと思わせないため、あらかじめ「火柱が立った」言いふらしていた判明したそうです。

 なので、「火柱が立つと火災が起こる」という俗説も、やはり怪しい物です。


haname【解説】

 明治の頃の文章でも、まだ古文的なので、やっぱり現代語訳必要ですよね。

 要するに、井上円了は、火柱と言う現象存在するものの、「火柱が立つと、倒れた方角で火災が起こる」などという噂話は、盗賊放火隠すために[放火ではなく火柱が立ったことによる火災と思わせるために]「火柱が立った」言いふらした例もあるので、信憑性が低い言っています。


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三つ目アイコン 放火はしないけど、放屁はするよ三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"


妖怪画本・狂歌百物語
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[22]火消婆 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、火を消す老婆の妖怪火消婆《ひけしばば》ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
 資料がほとんど見つからなかったので、今回は短めですヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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火消しばば01火消しばば02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

火消婆《ひけしばゞ》  苅藻《かるも》

 一《ひと》つ家《や》の 破《や》れ行燈の 火消し婆〻 髪も乱れて 骨露《ほねあら》ハなり


【現代語訳】

火消婆《ひけしばば》  by 苅藻《かるも》

 一つ家破れた行灯《あんどん》火を消す婆は、乱れて、痩せこけてあばら骨露《あら》わになっています。



haname【解説】

 一つ家住むのは鬼婆です[「一つ家の鬼婆」または「浅茅ヶ原《あさじがはら》の鬼婆」]
 狂歌は、鬼婆行灯の火消す様子を、火消婆と言っているようです。
 破れた行灯骨組み露わになっているのと、痩せた婆あばら骨が浮き上がって露わになっているのを掛けています一つ家あばら家というのにも掛かっている]

 挿絵火柱うちわ消そうとする火消婆が、金の精驚いている様子描かれています。


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今昔画図続百鬼
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『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]



【原文】

   火消婆《ひけしばゞ》

 夫《そ》れ、火ハ陽氣《やうき》なり。
 妖《よう》ハ陰氣《いんき》なり。
 烏羽玉《うばたま》の夜《よ》の暗きにハ、陰氣《いんき》の陽氣《やうき》に勝つ時なれば、火消婆《ひけしばゞ》も有るべきにや。
[「烏羽玉《うばたま》の」は「夜」に掛かる枕詞]


【現代語訳】

   火消婆《ひけしばば》

 そもそも、陽の気で、陰の気です。
 暗い夜は、陰気陽気に勝つ時間帯なので、火消婆《ひけしばば》現れるのでしょうな。


haname【解説】

 この鳥山石燕の絵火消婆初出というか、火消婆石燕創作妖怪でしょう。
 夜に出るという以外、火消婆がどんな妖怪なのかはサッパリ分かりません。
 火を消すという事は、火遊び[女遊び]戒めているのでしょうか?

 挿絵は、物陰から提灯の火吹き消している火消婆描かれています。


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怪物画本
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怪物画本
『怪物画本《かいぶつえほん》』[明治十四(一八八一)年刊、李冠光賢画、鍋田玉英模写]



haname【解説】

 火消婆に関する資料があまりにもないので、おまけ『怪物画本』から。
『怪物画本』は、李冠光賢画鍋田玉英模写、と記載されていますが、ご覧の通り、鳥山石燕の妖怪画をそのまんまパクって作られたですヾ(๑╹◡╹)ノ"
「吹っ消し婆々」微妙妖怪名変えられてるのがまた、何とも言えませんヾ(๑╹◡╹)ノ"



三つ目アイコン 火消婆《ひけしばば》って結局、どんな妖怪か、よくわかんないんだよね三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname お前毛無爺《けなしじじ》だけどな北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"


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[21]牡丹灯籠 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname  今回は有名なお話『牡丹灯籠』登場する妖怪と言うか幽霊と言うかですヾ(๑╹◡╹)ノ"

牡丹灯籠』は、毎晩のように牡丹の灯籠を持って、のもとに通う女性は、実はこの世の者ではなかったというお話です。

※詳しくは本館の過去記事をご覧くださいませ。



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狂歌百鬼夜興
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牡丹灯籠01
牡丹灯籠02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
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【原文】

牡丹灯篭  數照《かずてる》

 花に寄る 胡蝶《こてふ》の夢か 幻か 消えて儚き 牡丹燈篭
[「胡蝶の夢」という中国の故事がある。「胡蝶《こちょう》」は「蝶」の別名]


【現代語訳】

牡丹灯籠  by 数照《かずてる》

 に寄る自分がなっているのが、現実分からなくなったという、中国の故事のように、牡丹灯籠を持った美女がやって来て、むなしく去っていったのも、現実かどうか分からないのです。
[「花」と「牡丹」を関連付けている]



haname【解説】

 挿絵は、本来なら、牡丹の灯籠を持った美女、または美女の正体のガイコツ幽霊描かれるはずですが、描かれているのは牡丹の灯籠だけで、パロディー化されて、美女の代わりに美女に化けた猫又描かれていますヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   牡丹燈籠  部屋住

 通ひ来る 牡丹燈籠に 戯《たハ》れ男ハ 夜な夜な/\ごとに 落つる肉合《しゝあひ》


【現代語訳】

   牡丹灯籠  by 今田部屋住《いまだへやずみ》

 毎晩通ってくる、牡丹灯籠を持った美女に、好色男は、精気を吸われて、夜毎《よごと》落ちて、やせ細っていくのです。


haname【解説】

 この狂歌は、牡丹灯籠のお話なぞらえて、毎晩のように女遊びにふける男たちへ、警鐘鳴らしているのでしょうかね。


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今昔画図続百鬼
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『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]



【原文】

 骨女《ほねおんな》

 是ハ『御伽婢子《おとぎばうこ》』に見えたる、年古《としふ》る女の骸骨《がいこつ》、牡丹《ぼたん》の燈籠《とうらう》を携《たづさ》へ、人間《にんげん》の交ハりを為《な》せし形《かたち》にして、元ハ『剪燈新話《ゼんとうしんわ》』の内に「牡丹燈記《ぼたんとうのき》」とて有り。


【現代語訳】

 骨女《ほねおんな》

 骨女『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊、仮名草子の怪異小説集]登場する、年月を経た女の骸骨です。

 は、骨女が、牡丹の花飾りがある灯籠を持って、人間の男チョメチョメをしに訪れた姿です。

 『剪灯新話《せんとうしんわ》』[中国明代の怪異小説集]「牡丹灯記《ぼたんとうき》」というタイトル掲載されているお話です。


haname【解説】

 挿絵は、美女の姿ではなく、正体ガイコツ幽霊の姿描かれており、これを石燕骨女呼んでいます。


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狂歌百物語
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狂歌百物語
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』三編「牡丹燈籠」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname【解説】

 こちらは、普通牡丹の灯籠を持った美女が、男の家に通う様子描かれています。



三つ目アイコン よ~し、美女化けるニャン!三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"猫又


haname ぎゃ~!北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"


三つ目アイコン うふん、三つ目美女よ~三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"
三つ目美女



妖怪画本・狂歌百物語
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北見花芽

文学やったり音楽やったり美学を貫いたりしてる自由人です♪
一応、それなりに江戸文学の専門的な研究をして、それなりの学位を取得していますヾ(๑╹◡╹)ノ"

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