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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。
【原文】
▢火柱 加賀丸
太かりし 肝を消しても 見る物は 風に燃え立つ 夜半《よは》の火柱
【現代語訳】
▢火柱 by 加賀丸
太かった肝を消してしまったのは、風の中でも消えずに燃え立つ、夜の火柱を見てしまったからでした。
[「肝が太い」は「物事に動じない」、「肝を消す」は「非常に驚く」を意味する慣用表現]

狂歌は、肝は消したけど、火柱は消えなかったというシャレですね。
挿絵は、火消婆に消されそうになっている火柱です。
どうか、妖怪仲間でしょうから、消さないであげてください(笑)
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妖怪百談
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火柱は妖怪と言うより怪奇現象なので、火柱が出たという記録的なものはあるのですが、『狂歌百鬼夜狂』にも、『狂歌百物語』にも、鳥山石燕の妖怪画集にも登場しません。。。

【解説】
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僕は放火はしないけど、放屁はするよ
ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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そこで、あまりにも尺が足りないので、明治の妖怪博士、井上円了の火柱についての記述が興味深かったので、紹介することにします。

『妖怪百談』[明治三十一(一八九八)年刊、井上円了作]
【現代語訳】
第七十六段 火柱《ひばしら》の話
世間では、火柱の立つ時は、火柱の倒れた方角で、必ず火災が起こると言われています。
この事が、ホントかウソか確かめるのが難しいですが、謎に火が立ち上がって消える事は、事実としてあるようです。
思うに、燐火《りんか》[火の玉、人魂]の一種でしょう。
ところで、私はかつて、このような事を聞きました。
ある町で、「火柱が立った」という噂があって、すぐに火災が起こりました。
そのことについて、噂の発生源を追及すると、その辺りに放火をして悪事を働く盗賊がいて、放火をしようとした際に、火災が放火によるものと思わせないため、あらかじめ「火柱が立った」と言いふらしていたと判明したそうです。
なので、「火柱が立つと火災が起こる」という俗説も、やはり怪しい物です。

明治の頃の文章でも、まだ古文的なので、やっぱり現代語訳が必要ですよね。
要するに、井上円了は、火柱と言う現象は存在するものの、「火柱が立つと、倒れた方角で火災が起こる」などという噂話は、盗賊が放火を隠すために[放火ではなく火柱が立ったことによる火災と思わせるために]「火柱が立った」と言いふらした例もあるので、信憑性が低いと言っています。
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