江戸妖怪界隈

江戸時代の妖怪たちを崩し字と共に分かりやすく紹介します♪

江戸時代

[22]火消婆 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、火を消す老婆の妖怪火消婆《ひけしばば》ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
 資料がほとんど見つからなかったので、今回は短めですヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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火消しばば01火消しばば02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

火消婆《ひけしばゞ》  苅藻《かるも》

 一《ひと》つ家《や》の 破《や》れ行燈の 火消し婆〻 髪も乱れて 骨露《ほねあら》ハなり


【現代語訳】

火消婆《ひけしばば》  by 苅藻《かるも》

 一つ家破れた行灯《あんどん》火を消す婆は、乱れて、痩せこけてあばら骨露《あら》わになっています。



haname【解説】

 一つ家住むのは鬼婆です[「一つ家の鬼婆」または「浅茅ヶ原《あさじがはら》の鬼婆」]
 狂歌は、鬼婆行灯の火消す様子を、火消婆と言っているようです。
 破れた行灯骨組み露わになっているのと、痩せた婆あばら骨が浮き上がって露わになっているのを掛けています一つ家あばら家というのにも掛かっている]

 挿絵火柱うちわ消そうとする火消婆が、金の精驚いている様子描かれています。


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今昔画図続百鬼
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Konjakuzokuhyak2Tori_0009Konjakuzokuhyak2Tori_0009+
『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]



【原文】

   火消婆《ひけしばゞ》

 夫《そ》れ、火ハ陽氣《やうき》なり。
 妖《よう》ハ陰氣《いんき》なり。
 烏羽玉《うばたま》の夜《よ》の暗きにハ、陰氣《いんき》の陽氣《やうき》に勝つ時なれば、火消婆《ひけしばゞ》も有るべきにや。
[「烏羽玉《うばたま》の」は「夜」に掛かる枕詞]


【現代語訳】

   火消婆《ひけしばば》

 そもそも、陽の気で、陰の気です。
 暗い夜は、陰気陽気に勝つ時間帯なので、火消婆《ひけしばば》現れるのでしょうな。


haname【解説】

 この鳥山石燕の絵火消婆初出というか、火消婆石燕創作妖怪でしょう。
 夜に出るという以外、火消婆がどんな妖怪なのかはサッパリ分かりません。
 火を消すという事は、火遊び[女遊び]戒めているのでしょうか?

 挿絵は、物陰から提灯の火吹き消している火消婆描かれています。


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怪物画本
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怪物画本
『怪物画本《かいぶつえほん》』[明治十四(一八八一)年刊、李冠光賢画、鍋田玉英模写]



haname【解説】

 火消婆に関する資料があまりにもないので、おまけ『怪物画本』から。
『怪物画本』は、李冠光賢画鍋田玉英模写、と記載されていますが、ご覧の通り、鳥山石燕の妖怪画をそのまんまパクって作られたですヾ(๑╹◡╹)ノ"
「吹っ消し婆々」微妙妖怪名変えられてるのがまた、何とも言えませんヾ(๑╹◡╹)ノ"



三つ目アイコン 火消婆《ひけしばば》って結局、どんな妖怪か、よくわかんないんだよね三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname お前毛無爺《けなしじじ》だけどな北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"


妖怪画本・狂歌百物語
京極 夏彦
国書刊行会
2008-08-01









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[21]牡丹灯籠 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname  今回は有名なお話『牡丹灯籠』登場する妖怪と言うか幽霊と言うかですヾ(๑╹◡╹)ノ"

牡丹灯籠』は、毎晩のように牡丹の灯籠を持って、のもとに通う女性は、実はこの世の者ではなかったというお話です。

※詳しくは本館の過去記事をご覧くださいませ。



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狂歌百鬼夜興
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牡丹灯籠01
牡丹灯籠02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

牡丹灯篭  數照《かずてる》

 花に寄る 胡蝶《こてふ》の夢か 幻か 消えて儚き 牡丹燈篭
[「胡蝶の夢」という中国の故事がある。「胡蝶《こちょう》」は「蝶」の別名]


【現代語訳】

牡丹灯籠  by 数照《かずてる》

 に寄る自分がなっているのが、現実分からなくなったという、中国の故事のように、牡丹灯籠を持った美女がやって来て、むなしく去っていったのも、現実かどうか分からないのです。
[「花」と「牡丹」を関連付けている]



haname【解説】

 挿絵は、本来なら、牡丹の灯籠を持った美女、または美女の正体のガイコツ幽霊描かれるはずですが、描かれているのは牡丹の灯籠だけで、パロディー化されて、美女の代わりに美女に化けた猫又描かれていますヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   牡丹燈籠  部屋住

 通ひ来る 牡丹燈籠に 戯《たハ》れ男ハ 夜な夜な/\ごとに 落つる肉合《しゝあひ》


【現代語訳】

   牡丹灯籠  by 今田部屋住《いまだへやずみ》

 毎晩通ってくる、牡丹灯籠を持った美女に、好色男は、精気を吸われて、夜毎《よごと》落ちて、やせ細っていくのです。


haname【解説】

 この狂歌は、牡丹灯籠のお話なぞらえて、毎晩のように女遊びにふける男たちへ、警鐘鳴らしているのでしょうかね。


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今昔画図続百鬼
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Konjakuzokuhyak2Tori_0024Konjakuzokuhyak2Tori_0024+
『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]



【原文】

 骨女《ほねおんな》

 是ハ『御伽婢子《おとぎばうこ》』に見えたる、年古《としふ》る女の骸骨《がいこつ》、牡丹《ぼたん》の燈籠《とうらう》を携《たづさ》へ、人間《にんげん》の交ハりを為《な》せし形《かたち》にして、元ハ『剪燈新話《ゼんとうしんわ》』の内に「牡丹燈記《ぼたんとうのき》」とて有り。


【現代語訳】

 骨女《ほねおんな》

 骨女『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊、仮名草子の怪異小説集]登場する、年月を経た女の骸骨です。

 は、骨女が、牡丹の花飾りがある灯籠を持って、人間の男チョメチョメをしに訪れた姿です。

 『剪灯新話《せんとうしんわ》』[中国明代の怪異小説集]「牡丹灯記《ぼたんとうき》」というタイトル掲載されているお話です。


haname【解説】

 挿絵は、美女の姿ではなく、正体ガイコツ幽霊の姿描かれており、これを石燕骨女呼んでいます。


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狂歌百物語
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狂歌百物語
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』三編「牡丹燈籠」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname【解説】

 こちらは、普通牡丹の灯籠を持った美女が、男の家に通う様子描かれています。



三つ目アイコン よ~し、美女化けるニャン!三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"猫又


haname ぎゃ~!北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"


三つ目アイコン うふん、三つ目美女よ~三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"
三つ目美女



妖怪画本・狂歌百物語
京極 夏彦
国書刊行会
2008-08-01









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[20]猫又 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、お馴染み妖怪猫又[猫股]です、にゃお~んヾ(๑╹◡╹)ノ"

 年を取った猫は、しっぽ二つに分かれて、猫又と言う妖怪になって、人を化かすと考えられていました。。


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狂歌百鬼夜興
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猫又01猫又02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

猫又《ねこまた》  士業《しごふ》

 形さへ 所によりて 変はり物 今日は又猫 明日は又婆〻


【現代語訳】

猫又  by 士業《しごう》

 今日又《また》、明日は又《また》、というように、妖怪猫又は、場所によって姿変えるのです。



haname【解説】

 狂歌は、副詞《また》」[「再び」の意]「猫かけています。

 挿絵は、ではなく牡丹灯籠の美女に化けた猫又が、金の精に驚いて逃げている様子が描かれています。


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   猫又《ねこまた》 酒舩《さかふね》

 猫又の 姿と見しハ 迷ひから 此方《こちら》の胸の 踊るなりけり


【現代語訳】

   猫又《ねこまた》 by 問屋酒船《とんやのさかふね》

 猫又姿見えたので、心が乱れ胸が踊りました[胸がドキドキしました]


haname【解説】

 猫又「手拭いを頭に乗せて踊る言われていたので、それを踏まえて、「胸が踊る掛けて詠まれています。


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画図百鬼夜行
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画図百鬼夜行
『画図百鬼夜行』[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]



haname【解説】

 はい、こちらがまさしく猫又手拭いを乗せて踊っている姿です。

 見にくいですが、障子を破ってを出すと、縁側の下にも描かれています。


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狂歌百物語
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狂歌百物語
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』一編「貍《ねこまた》」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname【解説】

狂歌百物語+

 ここでは、猫又「貍」という漢字で書かれています。

「貍」通常タヌキ意味する漢字ですが、「猫貍橋《ねこまたばし》」「猫貍坂《ねこまたはし》」という地名にも使われており、また、中国では「貍奴《りど》」猫の別名であり、「仙貍《せんり》」という猫の妖怪もいることから、猫又のことを意味する場合もあるようです。

 挿絵は、女性障子越し見ると、正体猫又だったということでしょうか。



◆猫又関連記事(本館)







三つ目アイコン ねえねえ、猿又《さるまた》ってどんな妖怪三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname それは妖怪じゃなくて、履いて下着名称北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"



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[19]金の精 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、やってくるとお金持ちになるという、金の精ですヾ(๑╹◡╹)ノ"

 私の所にも来て~!1!ヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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金の精02金の精01
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

金《かね》の精《せい》  橘庵《きつあん》

 脚無くて 飛び手無くして 面《つら》を張る 黄金《こがね》の魂《たま》は 世に光る物


【現代語訳】

▢金《かね》の精《せい》  by 橘庵《きつあん》

 足が無い[「お金が無い」の意]、飛び手が無い[「手が出ない」と同義か?「高くて買えない」の意か]面《つら》を張る[「金に物を言わせる」の意]など、に関する慣用句はどれも人間の体の部位含まれているように、人間とは切っても切り離せぬ存在で、黄金《こがね》の魂《たま》[金の精]は、人間誰もが来るのを待ち望んでいて、世の中光り輝いている物なのです[お金の事を「光り物」とも言う]


haname【解説】

  狂歌は、なんだかんだ、人間が生きていく上で、お金必要不可欠な物ということを詠んでいるのでしょう。

 挿絵は、人の形をした金の精が、猫又火消し婆襲い掛かっています。
 妖怪にとって、お金恐ろしい物なのでしょうか?


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   金霊《かねだま》  今田部屋住《いまだへやずみ》

 化け物の 置き土産かや 金霊を 千両詰めし 箱根山程


【現代語訳】

   金霊《かねだま》  by 今田部屋住《いまだへやずみ》

 化け物置き土産でしょうか、箱根山ぐらいの高さまで、金霊千両箱に詰めて積んであります。


haname【解説】

「金の精」は、ここでは「金だま(後述の『今昔画図続百鬼』を元にしてると思われるので、便宜上「金霊」という漢字をあてました)というで出ています。

『狂歌百鬼夜狂』最後に詠まれている狂歌なので、金霊にやってきてお金持ちになるというめでたい内容になっています。

 たとえ箱根山が使われているのは、「野暮と化け物は箱根から先」ということわざふまえたからでしょう。


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今昔画図続百鬼
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Konjakuzokuhyak3Tori_0020Konjakuzokuhyak3Tori_0020+
『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]




【原文】

   金靈《かねだま》

 金霊《かねだま》ハ金気《きんき》也。
 唐詩《とうし》に、「貪《むさぼ》らずして夜《よる》金銀《きんぎん》の氣《き》を識《し》る」と言へり。
 又、論語《ろんご》にも、「冨貴《ふうき》天《てん》に在《あ》り」と見えたり。
 人、善事《ぜんじ》を為せば、天より福《ふく》を与ふる事、必然《ひつぜん》の理《り》也。


【現代語訳】

   金霊《かねだま》

 金霊《かねだま》は、金気《きんき》[金の精気、金の気配]です。
 唐詩《とうし》[中国唐時代の詩、杜甫「題張氏隠居」]に、「欲を持たないと、夜に金銀の気が立ち上るのが分かります」とあります。
 また、『論語』にも、「財産や地位は、天から与えられるものです」とあります。
 良い事をすれば、から与えられるというのは、当たり前理屈です。


haname【解説】

 要するに、を持たずに良い行いをすれば、から金霊がやってきて、富み栄えるということでしょう。

 挿絵金霊蔵の中入っていく様子でしょう、この家お金持ちになりますね♪


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狂歌百物語
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かねだま
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』三編「骸骨」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname【解説】

 きれいみなさん読み間違えていないと思いますが。

かねだま+


三つ目アイコン うん、「きんた


haname もちろん、「かねだま」または「かなだま」って読みますヾ(๑╹◡╹)ノ"

「精」「霊」「玉(魂)」意味的にはほぼ同じでございます。

 挿絵「かねだま」から飛び出て行ってるですかね。

 ということは、この家貧乏になってしまうということですね。。。


妖怪画本・狂歌百物語
京極 夏彦
国書刊行会
2008-08-01









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[18]叢原火 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回はマイナーな妖怪です。

いわゆる怪火の一種、叢原火ですヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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叢原火01叢原火02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
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【原文】

▢叢原火《そうげんび》  季照《きせう》

 何者か 此処《こゝ》に菫《すみれ》[「住《す》み」と掛けた]の 草の庵《いほ》 燃ゆる火を見て 一夜《ひとよ》寐られず


【現代語訳】

▢叢原火《そうげんび》  by 季照《きしょう》

 の途中、寂《さび》れた草庵一夜を過ごしたのですが、かつては一体、何者が住んでいたのでしょうか?
 そのなのか、窓の外のスミレが生い茂る草むらに、火の気もないのに燃える火が見えて、一睡もできませんでした。


haname【解説】

 「叢原火《そうげんび》」はこの文字通り解釈しますと、「草むらや野原に出没する火」と言うことになります。
 狂歌でもそのように詠まれていますが、何者かの霊であることも暗示しています。

 このページの挿絵遊郭モチーフに描かれています。
 遊客の天狗足元狐火照らしていましたが、遊女足元叢原火照らしています。


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画図百鬼夜行
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叢原火(そうげんび)

『画図百鬼夜行』[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]
※Wikipediaより


【原文】

〇 叢原火《そうげんび》

 洛外《らくぐわい》西院《さいゐん》の南、壬生寺《みぶでら》の辺《ほとり》に在《あ》り。
 俗、是を朱雀《すざく》の宗源火《そうげんび》と言う。


【現代語訳】

〇 叢原火《そうげんび》

 洛外《らくがい》[都の外れ]西院《さいいん》[かつて淳和院があった辺りの地名]壬生寺《みぶでら》の辺りに怪火が現れます。
 世間一般では、この怪火のことを「朱雀《すざく》の宗源火《そうげんび》[宗玄火]と言います。


haname【解説】

「叢原火」「宗源火《そうげんび》[宗玄火]というでも書かれるようですが、「宗源[宗玄]壬生寺の僧であったという人の名です。
 挿絵でも人の頭が描かれていますね。
 詳しくは、『新御伽婢子』巻三に書かれているのですが、少し長くなるので、それに関しては、また、本館の方で。


※【追記】本館更新しました。






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haname 北見花芽の江戸文学紹介ブログは、「うきよのおはなし」(本館)と、この「浮き憂き江戸文学」(別館)二体制運営することになりました北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"



三つ目アイコン
 わ~い、僕の出演二倍になるということだね三つ目
ヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname できれば、には両方から卒業していただきたいのだが北見ヾ(๑╹◡╹)ノ"



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北見花芽

文学やったり音楽やったり美学を貫いたりしてる自由人です♪
一応、それなりに江戸文学の専門的な研究をして、それなりの学位を取得していますヾ(๑╹◡╹)ノ"

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