
小間使いの小僧さんの妖怪はメジャーで、雨降り小僧、大頭小僧、一つ目小僧、豆腐小僧、ちょろけん小僧が同様の妖怪です。
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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。
【原文】
▢酒買小僧《さけかひこぞう》
酔ひ醒《さ》めて 身の毛も弥立《よだ》つばかりなり 酒買ひに行《ゆ》く 小僧見し夜は 蘭英《らんえい》
酔ひ醒《さ》めて 身の毛も弥立《よだ》つばかりなり 酒買ひに行《ゆ》く 小僧見し夜は 蘭英《らんえい》
【現代語訳】
▢酒買小僧《さけかいこぞう》
楽しくお酒を飲んだ帰り道なのに、夜中に酒を買いに行く小僧を見ちまったから、体中の毛が逆立つくらい恐ろしくて、酔いもさめちまったよ! by 蘭英《らんえい》

夜中に小僧さんが外を歩いているわけないので、妖怪に違いありませんねヾ(๑╹◡╹)ノ"
(ほんとはただの酔っぱらいの見間違いなんじゃw)
(ほんとはただの酔っぱらいの見間違いなんじゃw)
挿絵は、お使いで買ってきた徳利を前に、ちょこんと座って控える、可愛らしい小僧さんが描かれています。
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変化物春遊
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えと、これだけだと尺が足りないので、『変化物春遊』から、類似妖怪の雨降り小僧のお話を紹介します。




『変化物春遊《ばけものはるあそび》』[寛政五(一七九三)年刊、桜川慈悲成作・歌川豊国画]
【原文】
友達寄り合いて、化け物話していたが、夜雨《よあめ》もしよぼ/\降りけるに、夜も更けていと寂しき小路《こふじ》を通りて帰る男あり。
彼のの男、至つて臆病者なれバ、道すがら色/\話の事ども思ひ出だしてすご/゛\一人歩ミ行く向こふより、笠の大きなるを着て、両手に何か持ちてちよこ/\歩み来る。
彼の男、
「是なん最前話の雨降り小僧ならん。後へ逃げ戻らん」
と、足早に元来たる道へ駆け出だしけれバ、早や何時の間にか前《まい》へ回りて、
「よく俺が噂したな」
と、恐ろしき顔して申しける。
【現代語訳】
友達同士が集まって、化け物の話をしました。
夜もふけて雨がショボショボと降る中、その中の一人の男が小道を通って帰途についていました。
この男はとても臆病者で、道中、先ほどの化け物の話を色々と思い出しながら、一人でビクビクと歩いていると、向こうから大きな笠をかぶって、両手に何かを持ち、ちょこちょこと歩いてくる者がいました。
この男は、
「これはさっき話していた雨降り小僧に違いない! 引き返そう!」
と、急いで来た道を走って戻ろうとしたのですが、いつのまにやら、その者は男の前に回りこんでいて、
「よくも俺の噂話をしてくれたな!」
と、恐ろしい顔をして言うのでした。ぎゃー!

要するに、百物語のようなものをしていたのでしょうね。
で、話し終わったら、時間差で帰り道に化け物が現れたという。
ひょっとしたら、この男の臆病な心がこの妖怪を出現させたのかもしれません。
後ろに川が流れているのは、雨降り小僧の足の形からして、正体は河童とかが化けた物というのを暗示しているのでしょうか???
(河童のことを川太郎とも言います)
(河童のことを川太郎とも言います)
挿絵では手ぶらですが、本文には「両手に何か持ちて」とあります。
両手に持っていたのは、徳利だったのでしょうか? それとも豆腐?
『夭怪着到牒《ばけものちゃくとうちょう》』[天明八(一七八八)年刊、北尾政美《きたおまさよし》画]


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