
鳥山石燕の妖怪画をまんまパクって作られた『怪物画本』を、元になった鳥山石燕の妖怪画と比較するという、意味があるのか無いのかよく分からない企画でございますヾ(๑╹◡╹)ノ"
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『怪物画本《かいぶつえほん》』「火車《くわしや》」[明治十四(一八八一)年刊、李冠光賢《りかんみつかた》画、鍋田玉英《なべたぎょくえい》模写]
『画図百鬼夜行』巻2「火車《くハしや》」[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]
[江戸東京博物館所蔵 CC BY-SA 4.0]
※画像の調整、赤字の書入れは筆者。

石燕の絵では毛むくじゃらの獣なのに、なぜか『怪物画本』ではブチ柄になっていて弱そうです(笑)
「火車」は葬礼などで人の死体を奪う妖怪です。
「火車」といえばこの石燕の絵がよく紹介されるのですが、みなさんも疑問に感じられていると思われますが、「火車」って名前のなのに、車が描かれてないんですよね。


『奇異雑談集』では雷のような姿、
で、室町時代の絵巻が元になっていると思われる『百怪図巻』を見てみましたら、獄卒(地獄の鬼)らしき獣が火の車を引いています。
おそらくこれが元の火車の姿でしょう。
Sawaki Sūshi (佐脇嵩之, Japanase, *1707, †1772) - scanned from ISBN 978-4-336-04187-6., パブリック・ドメイン, リンクによる
ほかにも、『新御伽婢子』と『近代百物語』でも、獄卒(牛頭馬頭《ごずめず》)が火の車を引いている絵が描かれています。

『近代百物語《きんだいひゃくものがたり》』巻五の一「巡《めぐ》る報《むく》ひは車《くるま》の轍《わだち》」[明和七(一七七〇)年刊。鳥飼酔雅作]
[富山大学附属図書館所蔵 CC BY]
でも、石燕の絵は、獄卒っぽくないんですよね。
ほかでは見られない石燕オリジナルの火車のビジュアルです。
何だか猫のような獣っぽいんですよね。
そうです、火車の正体が猫とされている場合もあるんです。
おそらく、石燕は火車猫説をふまえて描いたのではないかと。
たとえば『多満寸太礼』と『御伽人形』では、火車は猫又及び仲間の猫とされています。※『御伽人形』では火車という名称は出てこない。
『茅窗漫録《ぼうそうまんろく》』巻三「火車」[天保四(1833)年刊、茅原定作]
元々は奪った死体を乗せるための火の車を引いていた火車という妖怪ですが、そのうち火車という名前だけが残って、火の車を引いてなくても、死体を奪う妖怪全般が火車と呼ばれるようになったと思われます。
なので、獄卒や猫以外が火車の正体である場合も少なからずあります。
例えば、『因果物語』では松明《たいまつ》を持った二人の男、
※本文中では松明ではなく大きな光。本文中では二人の大男だが、挿絵ではそれほど大きくない。

『因果物語《いんがものがたり》(平仮名本)』巻四の五「生きながら火車《くわしや》に取られし女の事」[寛文年間(一六六一~一六七二)刊か、鈴木正三原作]
『奇異雑談集』では雷のような姿、
Unknown (Japanese) - scanned from ISBN 978-4-00-302571-0., パブリック・ドメイン, リンクによる
『狗張子』では天狗、
※火車の正体は明記されていないが、和尚のセリフ「往古《そのかミ》ハ関東方《くわんとうがた》、人 死《し》すれバ火車《くハしや》の来りて尸《かバね》を奪ひ取り、引き裂きて大木の枝に掛け置《お》きたる事も多かりしを」で、火車の正体が天狗であることを示唆している[天狗は人を引き裂いて枝に掛けると言われている。『狂歌百鬼夜興』などに記載]。
と言った具合です。
みなさんはどの火車がお気に入りですか?
やっぱり石燕の火車が一番カッコイイかなヾ(๑╹◡╹)ノ"




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