
『怪物画本』は、李冠光賢《りかんみつかた》が描いた絵を鍋田玉英《なべたぎょくえい》(明治期の浮世絵師)が模写したということになっているのですが、李冠光賢って人物の情報がこの作品以外、見当たらないんです。
おそらく、鳥山石燕のパクリって言うのを誤魔化すために、李冠光賢って人物を捏造したのではないのかなと。
『怪物画本』に描かれている妖怪のラインナップは、
相生松の精、鵺・実方霊入内雀、守屋霊寺突き・酒呑童子、玉藻前・笑女、大仏怪物・葵の上、嫌味・挑灯火、ぶるぶる・宗玄火、姥が火・雨女郎、紅葉狩・釣瓶女、青女房・庫裏婆々化、白粉婆々・野寺坊、山男・一目坊主、天狗・見越入道、幽霊・姑獲鳥、海座頭・狸腹鼓、狐火・蛇婆々、清姫・死霊、生霊・吹消婆々、狸坊・火車、家鳴・猫又、頼豪
です。
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怪物画本
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『怪物画本《かいぶつえほん》』[明治十四(一八八一)年刊、李冠光賢《りかんみつかた》画、鍋田玉英《なべたぎょくえい》模写]
※画像の調整、赤字の書入れは筆者。

「相生松《あひおひのまつ》の精《せい》」と書かれています。
相生《あいおい》の松とは、雄松と雌松の二つの松が、一つの幹でつながっている松の事を言います。
高砂神社のものが有名で、お爺さんとお婆さんの姿をした神が宿っていると言われています。
おそらく高砂神社などの伝承を元に、「相生松の精」と付けたのでしょうが、図を見る限り、松は幹ではつながっておらず、独立した二本ですよね。
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画図百鬼夜行
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『画図百鬼夜行』[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]
【原文】
○木魅《こだま》
百年の樹にハ神有りて、形を現すと言ふ。
【現代語訳】
○木魅《こだま》
樹齢百年の木には、神が宿って、その姿を現すと言います。

『怪物画本』は、この絵をほぼそのままパクっていますが、重ねてみると、微妙に違って重なり合うことは無いので、トレースしたわけではなく、やはり模写の範疇ですかね。
『怪物画本』は、「木魅」を「相生松の精」に変えて、説明文はカットして、着色が施されています。
確かに松の木は描かれていますが、本文中に相生松という表現はありません。
描かれているのは、お爺さんとお婆さんの姿で現れた、樹齢百年の木に宿った神です。
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たぶんこれが三つ目の初登場回

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