江戸妖怪界隈

江戸時代の妖怪たちを崩し字と共に分かりやすく紹介します♪

2023年12月

[10]鉄鼠 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname  今回はネズミの妖怪鉄鼠《てっそ》です北見
 
 鉄鼠は延暦寺横やり抗議して、を絶った園城寺《おんじょうじ》[三井寺《みいでら》]僧・頼豪《らいごう》怨念が、巨大なネズミとなり、延暦寺経文を食い散らかしたという、『平家物語』に書かれているとなった妖怪です。

 ちなみに、『平家物語』では、「頼豪鼠《らいごうねずみ》」と呼ばれています。


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狂歌百鬼夜興
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鉄鼠鉄鼠02
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】


▢鉄鼡《てつそ》

 経文を 喰ひ裂く罰の 頼豪《らいがう》が 鉄の鼠は 話[「歯無し」と掛ける]とぞなる  峨松《がしよう》


【現代語訳】

鉄鼠《てっそ》

 経文を食い破ったが当たって、頼豪化身鉄の歯を持つは、歯無しになってしまったという。  by 峨松《がしょう》


haname【解説】

 頼豪が化けたネズミが、「鉄の歯」を持つとされるようになったのは、『太平記』からのようです。
 
 狂歌は「恨みからとはいえ、であるのに、経文を食い破ってしまった鉄鼠が、仏様バチが当たって、鉄の歯が抜けて歯無しになってしまったがある」という内容です。
 もちろんシャレで、そのような伝承はありませんw
 
 挿絵では、僧体三つ目に見つめられながら、鉄鼠経文食べていますねヾ(๑╹◡╹)ノ"


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画図百鬼夜行
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石燕01
石燕02
『画図百鬼夜行』[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]



【原文】

〇鉄鼠《てつそ》

 頼豪《らいがう》の灵《れゐ》、鼡《ねずみ》と化すと、世に知る所也。


【現代語訳】

〇鉄鼠《てっそ》

 頼豪の霊ネズミの妖怪となったのは、誰も知っていることです。


haname【解説】

 先行鳥山石燕の妖怪画集でも「鉄鼠」の名で描かれています。
 頼豪の霊が化したネズミの事を、「鉄鼠」名付けたのは、鳥山石燕最初だと思われます。
 頼豪の霊ネズミになったは、当時誰もが知る有名エピソードだったのですね。

『狂歌百鬼夜興』完全にネズミの姿でしたが、こちらは人間味が残っていますね。


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狂歌百物語
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三井寺鼠

『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』[嘉永六(1853)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname 【解説】

『狂歌百物語』において、鉄鼠「三井寺鼡《みいでらねずみ》」というで描かれています。

 一番、人間に近い姿で描かれていますね。


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新形三十六怪撰
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芳年
『新形三十六怪撰 三井寺頼豪阿闍梨悪念鼡と變ずる圖』[明治三十一(一八九八)年版、月岡芳年画]



haname【解説】

 ちょっとが足りないので、おまけで芳年鉄鼠を。

 石燕鉄鼠似ていますね。


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三つ目アイコン 
僕は経文よりネズミが食べたいな、じゅる三つ目ヾ(๑╹◡╹)ノ"





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[9]三つ目 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 存在するかどうかわかりませんが、三つ目ファンの方、お待たせしましたwヾ(๑╹◡╹)ノ"


三つ目アイコン わ~い、わ~い、ついにこの日がやってきたヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname 三つ目が喜ぶので、紹介したくなかったのですが、今回三つ目ですw

 三つ目はあちこちに出てくる超メジャーな妖怪ですが、三つあるだけで、特に何をする妖怪なのかはイマイチよく分かりませんよねwヾ(๑╹◡╹)ノ"


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狂歌百鬼夜興
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三つ目01三つ目02

『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】


▢三ツ目


 一つ目に 睨《にら》まるゝさへ 怖き夜に 見つめ[「三つ目」と掛けた]られては 堪《たま》る物かは  廣庭《ひろにわ》


【現代語訳】

三つ目


 一つ目妖怪睨まれるだけでも恐ろしいに、それよりも二つが多い三つ目妖怪見つめられたら、恐ろしすぎてたまったもんじゃない!


haname【解説】

 このページイラストは、謡曲『葵の上』ベースに描かれているようです。

 謡曲『葵の上』では、横川《よかわ》の小聖《こひじり》祈祷するのですが、ここでは僧侶の格好をした三つ目がやる気なさげに経文を開いています。


「三つ目」「見つめ」ギャグこの頃からあったのですねwヾ(๑╹◡╹)ノ"




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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   三目入道《みつめにふだう》  京傳《きやうでん》

 日月《にちげつ》に 例《たと》ふ眼《まなこ》の 三つ有れば 一つハ星の 入りしなるべし


【現代語訳】

   三つ目入道  by 山東京伝《さんとうきょうでん》

 二つの目太陽に例えられますが、三つ目入道三つあるので、もう一つ太陽のほかにが入ったのでしょうね。


haname【解説】

 山東京伝と言う大物作家三つ目狂歌を詠んでいます。


三つ目アイコン やっぱり三つ目レベルになると、大物作家担当になるんだねヾ(๑╹◡╹)ノ"


haname ( ↑ 無視)

 ここでは単に「三つ目」ではなく「三つ目入道」とされています。
『狂歌百鬼夜興』三つ目僧侶の姿なので、三つ目入道と言うべきでしょうね。

 三つの目を、太陽、月、星になぞらえるとは、なかなかロマンチックですねw


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狂歌百物語
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狂歌百物語三つ目
『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』[嘉永六(1853)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ


haname 【解説】


 妖怪名「三ツ目」と書かれています。
 茶坊主姿三つ目ですね。

 ということは、三つ目入道ではなく、三つ目小僧と言うべきですね。


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百種怪談妖物双六
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百種怪談妖物双六(国会)
『百種怪談妖物双六《むかしばなしばけものすごろく》』[安政五(一八五八)年刊、一寿斎芳員画]



【原文】

朝比奈切通《あさひなきりどほし》の三目大僧《ミつめだいそう》


二 嫉妬《しつと》の怨念《をんねん》  四 垢嘗《あかなめ》
五 犬神《いぬがミ》  六 海坊主《うミぼうず》


haname【解説】



 妖怪双六三つ目紹介しておきます。


 朝夷奈切通《あさいなきりどおし》鎌倉にある峠道です。
 朝夷奈切通に特にそれっぽい伝承は見つからなかったので、何でこの場所三目大僧がいるのかはよく分かりません


 大僧は、大僧正とかのことではなく、ここでは単に大きな僧侶の意でしょう。

 実は、このブログマスコットだかアシスタントだかの三つ目は、この三目大僧がきっかけで誕生しました。


三つ目


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三つ目アイコン 三つ目特集はあと十回続くよ
ヾ(๑╹◡╹)ノ"

haname 続かないよ!今回が最初で最後だよ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"





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[8]破れ車 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname  今回は、牛車《ぎっしゃ》[公家が乗る、牛に引かせる屋形車]妖怪破《や》れ車ですヾ(๑╹◡╹)ノ"

 破れ車「傷《いた》んだ車」と言う意味です。

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狂歌百鬼夜興
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やれ車
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
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【原文】

▢破《や》れ車《ぐるま》

 妬《ねた》みには 情けも仇《あだ》 破《や》れ車《ぐるま》 法《のり》[「乗《の》り」と掛けた]に引かるゝ 心無くして  晋松《しんまつ》

[「情けが仇《あだ》」(慣用句)→「風吹けば 徒《あだ》破《や》れ行《ゆ》く 芭蕉葉の 有ればと身をも 頼むべきかは」(西行『山家集』)→「破《や》れ車」]


【現代語訳】

▢破《や》れ車《ぐるま》

 嫉妬《しっと》する者には、好意をもって接しても、悪意にとらえられてしまいます。
 そして、嫉妬した者は、適切な判断ができないまま、嫉妬した相手に、仏法の教えに導かれ「三つの車」という『法華経』の教え]破《や》れ車[傷んだ牛車《ぎっしゃ》]に乗ってやってくるのです。


haname【解説】

 この狂歌謡曲[能の脚本]『葵の上』に基づいて詠まれていると思われます。
 『葵の上』『源氏物語』にした作品で、車争いで敗れたことを恨んだ六条御息所《ろくじょうのみやすどころ》怨霊が、葵の上のもとに現れるというお話です。

 次のように、『葵の上』には、狂歌と関連するフレーズが出てきます。
三つの車法《のり》[「乗《の》り」と掛けた]の道、火宅の内をや出でぬらん」
「夕顔の宿の破《や》れ車、やる方なきこそ悲しけれ」
「人間の不定、芭蕉泡沫の世の習ひ」


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今昔百鬼拾遺
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朧車朧車+
『今昔百鬼拾遺』[安永十(1780)年刊、鳥山石燕作画]


【原文】


    朧車《おぼろぐるま》

 昔、賀茂《かも》の大路《おほぢ》を朧夜《おぼろよ》に車《くるま》の軋《きし》る音しける。
 出て見れば、異形《いぎやう》の者也。
 車爭《くるまあらそ》ひの遺恨《いこん》にや。


【現代語訳】

   朧車《おぼろぐるま》

 昔、賀茂《かも》[京都]大通りで、朧月夜《おぼろづきよ》牛車《ぎっしゃ》がギシギシするが聞こえました。
 を出て見てみると、そこにはヘンテコな姿の者がいました。
 車争い恨みが生み出した妖怪でしょうか。


haname【解説】

 先行鳥山石燕の妖怪画集では「朧車《おぼろぐるま》」という名で、この妖怪が描かれています。

「車争い」とは、祭りの時などに、よい場所見物できるよう、公家牛車場所取りを争ったことです。
 車争い敗れたものの恨みが、朧車という妖怪になって現れたということのようです。
 車争いといえば、この時代の人は、まず、葵の上六条御息所車争いイメージしたことでしょう。

 挿絵で、朧車が全て点線で描かれているということは、この妖怪朧月のように、ぼんやりかすんで見えたということでしょうか。

『狂歌百鬼夜興』ではアレンジされて、『葵の上』で書かれているような破《や》れ車[傷んだ車]に描かれています。
 ひょっとしたら、「朧車《おぼろぐるま》」ボロ車掛かっているのかもしれませんね。
 破れ車朧車も、人間牛車一体化した妖怪に描かれています。


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三つ目アイコン 
破れパンツを履いてるよヾ(๑╹◡╹)ノ"

haname うそつけ、お前フンドシだろヾ(๑╹◡╹)ノ"




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[7]酒買小僧 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 「酒買小僧」小間使いの小僧さん妖怪ですねヾ(๑╹◡╹)ノ"

 小間使いの小僧さんの妖怪メジャーで、雨降り小僧大頭小僧一つ目小僧豆腐小僧ちょろけん小僧同様の妖怪です。

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狂歌百鬼夜興
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酒買小僧02酒買小僧01
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。


【原文】

▢酒買小僧《さけかひこぞう》

 酔ひ醒《さ》めて 身の毛も弥立《よだ》つばかりなり 酒買ひに行《ゆ》く 小僧見し夜は  蘭英《らんえい》


【現代語訳】

▢酒買小僧《さけかいこぞう》

 楽しくお酒を飲んだ帰り道なのに、夜中酒を買いに行く小僧見ちまったから、体中の逆立つくらい恐ろしくて、酔いさめちまったよ! by 蘭英《らんえい》


haname【解説】

 夜中小僧さんが歩いているわけないので、妖怪違いありませんねヾ(๑╹◡╹)ノ"
(ほんとはただの酔っぱらいの見間違いなんじゃw)
 挿絵は、お使いで買ってきた徳利を前に、ちょこんと座って控える、可愛らしい小僧さんが描かれています。


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変化物春遊
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haname『狂歌百鬼夜狂』鳥山石燕の妖怪画集『狂歌百物語』には、類似の妖怪は書かれているのですが、「酒買小僧」は書かれていません。
 えと、これだけだとが足りないので、『変化物春遊』から、類似妖怪雨降り小僧お話紹介します。

雨降り小僧_01雨降り小僧_02
雨降り小僧+_01雨降り小僧+_02
『変化物春遊《ばけものはるあそび》』[寛政五(一七九三)年刊、桜川慈悲成作・歌川豊国画]



【原文】


 友達寄り合いて、化け物話していたが、夜雨《よあめ》もしよぼ/\降りけるに、夜も更けていと寂しき小路《こふじ》を通りて帰る男あり。
 彼のの男、至つて臆病者なれバ、道すがら色/\話の事ども思ひ出だしてすご/゛\一人歩ミ行く向こふより、笠の大きなるを着て、両手に何か持ちてちよこ/\歩み来る。
 彼の男、
「是なん最前話の雨降り小僧ならん。後へ逃げ戻らん」
 と、足早に元来たる道へ駆け出だしけれバ、早や何時の間にか前《まい》へ回りて、
「よく俺が噂したな」
 と、恐ろしき顔して申しける。


【現代語訳】

 友達同士が集まって、化け物の話をしました。
 夜もふけてがショボショボと降る中、その中の一人の男小道を通って帰途についていました。
 この男はとても臆病者で、道中、先ほどの化け物の話を色々と思い出しながら、一人ビクビクと歩いていると、向こうから大きな笠をかぶって、両手に何かを持ち、ちょこちょこと歩いてくるがいました。
 この男は、
「これはさっき話していた雨降り小僧に違いない! 引き返そう!」
 と、急いで来た道を走って戻ろうとしたのですが、いつのまにやら、その者男の前回りこんでいて、
「よくも俺の噂話をしてくれたな!」
 と、恐ろしい顔をして言うのでした。ぎゃー!


haname【解説】

 要するに、百物語のようなものをしていたのでしょうね。
 で、話し終わったら、時間差帰り道化け物が現れたという。
 ひょっとしたら、この男臆病な心この妖怪出現させたのかもしれません。

 後ろにが流れているのは、雨降り小僧足の形からして、正体河童とかが化けた物というのを暗示しているのでしょうか???
河童のことを川太郎とも言います)

 挿絵では手ぶらですが、本文には「両手に何か持ちて」とあります。
 両手持っていたのは、徳利だったのでしょうか? それとも豆腐

[参考画像]

・豆腐を持った小僧の妖怪
夭怪着到牒
『夭怪着到牒《ばけものちゃくとうちょう》』[天明八(一七八八)年刊、北尾政美《きたおまさよし》画]



・徳利を持った小僧の妖怪
化物年中行状記
『化物年中行状記』[寛政八(一七九六)年刊、十返舎一九作画)



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三つ目アイコン 
三つ目小僧だよヾ(๑╹◡╹)ノ"

haname いや、いや、小僧じゃなくてオッサンだろヾ(๑╹◡╹)ノ"




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[6]狸 ~『狂歌百鬼夜興』に描かれた妖怪たち~

haname 今回は、現代でも生息している、妖怪、というか獣《けもの》の、狸《たぬき》ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
 もちろん、はただの哺乳類の動物なんですが、江戸時代は、狐《きつね》同様に、妖怪として扱われていましたヾ(๑╹◡╹)ノ"

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狂歌百鬼夜興
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狸
『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
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【原文】

▢狸《たぬき》

 八畳に 身を安くして 腹鼓《はらつゞみ》 ちつとも人に 構《かま》はざりけり  岩成《がんせい》


【現代語訳】

▢狸《たぬき》

 キャン玉八畳に広げて、がうるさがろうが、少しも気にかけず、気楽腹鼓を打つのです。 by 岩成《がんせい》


haname【解説】

 挿絵バチを持って腹鼓を叩いている姿が描かれてます。
 どこからともなく聞こえてくる鼓の音は、腹の皮を膨らませて打っている腹鼓だろう、というやつですね♪
 今と違ってこの頃はさえぎるような大きな建物もなく、も騒がしくなかったでしょうから、では全く確認できないようなかなり遠くの音も、に乗って聞こえてきたのでしょうね。
 ちなみに、キャン玉は、八畳にも広がると言われていました。


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狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]


【原文】

   狸 参和《さんな》

 冬枯れて 荒れたる野辺の 腹鼓《はらつゞみ》 是や狸の 化けの皮音[「化けの」と「音」を掛けた]


【現代語訳】

   狸 by 唐来参和《とうらいさんな》

 になって草木が枯れ、荒れ果てた野原に、鼓の音が響き渡ります。
 化けの皮をはがすと[正体は]腹の皮を叩いて出す腹鼓《はらつづみ》の音なのでした。


haname【解説】

 やはり腹鼓を打つイメージ強いみたいです。
 唐来参和は、今ではあまり聞かない名前ですが、当時著名な作家でした。


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画図百鬼夜行
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狸石燕
『画図百鬼夜行』[安永五年(一七七六)年刊、鳥山石燕作画]



haname【解説】

 はい、普通リアルに近い狸が描かれていますね(笑)
 満月に向かって腹鼓を打とうとしている様子でしょうか。


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百種怪談妖物双六
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百種怪談妖物双六(国会)百種怪談妖物双六(国会)+
『百種怪談妖物双六《むかしばなしばけものすごろく》』安政五(一八五八)年刊、一寿斎芳員画



【原文】

▢丁鳴原《たんぽはら》の腹鼓《はらつゞみ》

腹の皮《かは》損じて、一ト廻《まは》り休み

二 九尾《きうび》の狐《きつね》
三 茂林寺《もりんじ》
四 幽谷響《やまびこ》
五 見越入道《みこしにうだう》


haname【解説】

 今回は、江戸時代妖怪双六に描かれているも見てみましょう。

 満月の下腹鼓を打っている様子です。
 キャン玉大きく描かれています。
 描かれているは、桔梗《ききょう》で、黄色女郎花《おみなえし》でしょうかね。
 十五夜のお月様なのでしょうか、どちらの「秋の七草」です。

「腹の皮損じて、一ト廻り休み」、と書かれているように、このマス一回休みのマスです。
 調子に乗って叩きすぎたのか、腹の皮が破れて一回休みということですね(笑)

 数字妖怪の名が描かれていますが、この時代双六は、今の双六と違って、サイコロの目が出たマス移動したようです。
 つまり、「一」が出たら「九尾の狐」のマスに、「三」が出たら「茂林寺」のマス移動すると言った具合です。

 さて、皆さんは「たんぽ原」ってどこ?ってお思いでしょう。
「たんぽ原」はおそらく実在の地名ではないと思われます。

「たんぽ」綿などをで包んで球状にして、を取り付けたりしたものです。
 をつけてポンポンと叩いて拓本をとったり、ポンポンと叩いて掃除するときなどに使います。
 この「ポンポン」という動作から、腹鼓の音連想しますよね。
 いや、の膨らんだお腹が、たんぽの形みたいでもあります。

「たんぽ」漢字「打包」と書きます。
 つまり、「包《つつみ》」→「鼓《つづみ》」「原」→「腹」、従って「たんぽ原」→「打鼓腹」ということで、「たんぽ原」「腹鼓を打つ」と言う意味シャレてつけられた架空の地名でしょう。

「丁鳴」という「たんぽ」と読ませていますが、これは腹鼓「数[一丁(町)は約109メートル]もの距離までり響く」という意味で当てられた、完全な当て字でしょうね。


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三つ目アイコン 
蚊の目玉を食べて舌鼓を打つよヾ(๑╹◡╹)ノ"





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プロフィール

北見花芽

文学やったり音楽やったり美学を貫いたりしてる自由人です♪
一応、それなりに江戸文学の専門的な研究をして、それなりの学位を取得していますヾ(๑╹◡╹)ノ"

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