
『牡丹灯籠』は、毎晩のように牡丹の灯籠を持って、男のもとに通う女性は、実はこの世の者ではなかったというお話です。
※詳しくは本館の過去記事をご覧くださいませ。
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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。
【原文】
▢牡丹灯篭 數照《かずてる》
花に寄る 胡蝶《こてふ》の夢か 幻か 消えて儚き 牡丹燈篭
[「胡蝶の夢」という中国の故事がある。「胡蝶《こちょう》」は「蝶」の別名]
【現代語訳】
▢牡丹灯籠 by 数照《かずてる》
花に寄る蝶に自分がなっているのが、夢か現実か分からなくなったという、中国の故事のように、牡丹灯籠を持った美女がやって来て、むなしく去っていったのも、夢か現実かどうか分からないのです。
[「花」と「牡丹」を関連付けている]

挿絵は、本来なら、牡丹の灯籠を持った美女、または美女の正体のガイコツ幽霊が描かれるはずですが、描かれているのは牡丹の灯籠だけで、パロディー化されて、美女の代わりに美女に化けた猫又が描かれていますヾ(๑╹◡╹)ノ"
狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]
【原文】
牡丹燈籠 部屋住
通ひ来る 牡丹燈籠に 戯《たハ》れ男ハ 夜な夜な/\ごとに 落つる肉合《しゝあひ》
【現代語訳】
牡丹灯籠 by 今田部屋住《いまだへやずみ》
毎晩通ってくる、牡丹灯籠を持った美女に、好色男は、精気を吸われて、夜毎《よごと》に肉が落ちて、やせ細っていくのです。

この狂歌は、牡丹灯籠のお話になぞらえて、毎晩のように女遊びにふける男たちへ、警鐘を鳴らしているのでしょうかね。
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今昔画図続百鬼
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『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]
【原文】
骨女《ほねおんな》
是ハ『御伽婢子《おとぎばうこ》』に見えたる、年古《としふ》る女の骸骨《がいこつ》、牡丹《ぼたん》の燈籠《とうらう》を携《たづさ》へ、人間《にんげん》の交ハりを為《な》せし形《かたち》にして、元ハ『剪燈新話《ゼんとうしんわ》』の内に「牡丹燈記《ぼたんとうのき》」とて有り。
【現代語訳】
骨女《ほねおんな》
骨女は『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊、仮名草子の怪異小説集]に登場する、年月を経た女の骸骨です。
図は、骨女が、牡丹の花飾りがある灯籠を持って、人間の男とチョメチョメをしに訪れた姿です。
元は『剪灯新話《せんとうしんわ》』[中国明代の怪異小説集]に「牡丹灯記《ぼたんとうき》」というタイトルで掲載されているお話です。

挿絵は、美女の姿ではなく、正体のガイコツ幽霊の姿で描かれており、これを石燕は骨女と呼んでいます。
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狂歌百物語
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『狂歌百物語《きょうかひゃくものがたり》』三編「牡丹燈籠」[嘉永六(一八五三)年刊、天明老人尽語楼《てんめいろうじんじんごろう》編、竜斎正澄《りゅうさいまさずみ》画]
※富山大学附属図書館ヘルン文庫所蔵 富山大学学術情報リポジトリ

こちらは、普通に牡丹の灯籠を持った美女が、男の家に通う様子が描かれています。




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