それでは、続いて、小袖の手とセットで描かれている灯台鬼をどうぞヾ(๑╹◡╹)ノ"
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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
【原文】
【解説】
『今昔百鬼拾遺』[安永十(1780)年刊、鳥山石燕作画]
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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。【原文】
▢燈臺鬼
蝋燭《らうそく》の 流るゝ時は 燈臺の 鬼の目にさへ 涙見えけり 寸美丸《すみまる》
【現代語訳】
▢灯台鬼《とうだいき》
頭のロウソクが流れる時は、灯台鬼の目にさえ涙が見えます(灯台鬼でさえ涙を流します)[「鬼の目にも涙」をふまえた]。 by 寸美丸《すみまる》
【解説】
挿絵で灯台鬼と小袖の手は笛を演奏しています。
灯台鬼は声を出せないので(後述)、代わりに笛を吹いて音を出しているのでしょうかね。
小袖の手は手しかないので、笛の指抑えの補助と言うわけです。
この狂歌だけを見ると、灯台鬼は、流れ落ちるロウソクのロウが熱くて泣いている、と解釈できますね。
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今昔百鬼拾遺
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残念ながら、『狂歌百鬼夜行』『狂歌百物語』には、灯台鬼が登場しないのですが、鳥山石燕の妖怪画集には、灯台鬼の由来もしっかり書かれているので見てみましょう。
『今昔百鬼拾遺』[安永十(1780)年刊、鳥山石燕作画]
※国立国会図書館デジタルコレクション 百鬼夜行拾遺 3巻 [2] - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
燈臺鬼《とうだいき》
軽大臣《かるのだいじん》、遣唐使《けんとうし》たりし時、唐人《とうじん》、大臣《だいじん》に啞《おし》になる藥《くすり》を飲ませ、身《ミ》を彩《いろど》り、頭《かしら》に燈臺《とうだい》を戴《いたゞ》かしめて、燈臺鬼《とうだいき》と名付く。
其の子、弻宰相《ひつのさいしやう》、入唐《につとう》して、父《ちゝ》を尋《たづ》ぬ。
燈臺鬼《とうだいき》、涙《なミだ》を流し、指《ゆび》を噛《か》み切り、血を以て詩《し》を書《しよ》して曰《いハ》く、
我《われ》ハ元日本蕐京《もとにつぽんくハけい》の客《かく》
汝《なんぢ》ハ是《これ》一家同姓《いつけどうセう》の人《ひと》
子《こ》と為《な》り爺《おや》と為《な》る前世《ゼんゼ》の契《ちぎり》
山《やま》を隔《へだ》て海《うみ》を隔て変生《へんゼう》辛《から》し
年《とし》を経《へ》て涙《なミだ》を流《なが》す蓬蒿《ほうかう》の宿《ヤど》
日《ひ》を逐《お》ひ思《おも》ひを馳《は》す蘭菊《らんぎく》の親《しん》
形《かたち》他郷《たきヤう》に破《やぶ》れて燈鬼《とうき》と作《な》る
爭《いか》でか旧里《きうり》に皈《かへ》りて斯《こ》の身《ミ》を寄《よ》せん
【現代語訳】
灯台鬼《とうだいき》
軽大臣《かるのだいじん》は、遣唐使で唐に行きました。
その時、唐人は軽大臣に言葉を話せなくなる薬を飲ませ、体を彩色し、頭に灯台[燭台に似た火を灯す照明器具]を乗せ、灯台鬼と名付けました。
軽大臣の子の弼宰相《ひつのさいしょう》は、唐に行って父を捜しました。
灯台鬼は弼宰相を見ると涙を流し、指を噛み切って、血で詩を書きました。
私は元は日本の京都から来た客人です。
あなたは私の家族です。
前世からの縁であなたとは親子となりました。
遠く山や海を隔てて家族と離れ、このように姿を変えてしまったのは辛《つら》いものです。
長い間、この荒れ果てた家で涙を流しています。
日を追うごとに、華やかだった京都での生活に思いを馳《は》せます。
私は異国の地で虐《しいた》げられ、灯台鬼に姿を変えられてしまいました。
なんとかして、再び故郷に帰って暮らしたいものです。
【解説】
灯台鬼は、決してロウが熱くて涙を流したわけではないことが分かりますね。
『狂歌百鬼夜興』では狂歌なので、パロって、実はロウが熱くて泣いたんだよと、したわけです。
灯台鬼は妖怪と言うより、妖怪にされてしまった人間と言った方が良いでしょう。
灯台鬼にされた原因が不明なのが怖いですね。
異国の地で姿を変えられて帰れなくなってしまうという、今でもある、これ系の都市伝説のルーツとでも言えるお話ですね。
え? 灯台鬼はこのあとどうなったかって?
『宝物集』や『平家物語』によりますと、ちゃんと息子は父を日本に連れて帰ったそうなので、ひとまず良かったということで。
なお、別の結末もありまして、『和漢三才図会』などでは、帰る途中の島で父は亡くなり、亡くなった島を鬼界島と名付けたとなっています。
挿絵では、灯台鬼の横に布のようなものが掛けられていますが、この構図、『狂歌百鬼夜興』とよく似ているので、参考にしたのかもしれませんね。
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僕は趣味で頭からロウを垂らすよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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